海外FXのアービトラージ

海外FXには数多くの取引手法があります。それらの手法を用いて勝率を上げたり、取引を楽にしたりするわけですが、そんな海外FXトレードでよく聞く言葉に「アービトラージ」というものがあります。実はこのアービトラージ、あまりいい意味で利用されている言葉ではなくどちらかというと禁止行為の欄でよく見かけるような言葉だったりします。

ではこのアービトラージとはどんなものなのでしょうか?ここではアービトラージの特徴について詳しく見ていきたいと思います。海外FXトレードで勝率を高めるためにも知っておきたい言葉です。ぜひここで学んで有効活用しましょう。

アービトラージとは?

アービトラージとは、2つの通貨の価格差を利用して利益を出す方法で、「さや取り」や「裁定取引」とも呼ばれています。同一価値を持った商品の一時的な価格差が生じた時に、割高なものを売り割安なほうを買ったうえで、双方の価格差が縮小した段階で、反対売買を行うことにより利益を得ようとする取引のことを言います。

このアービトラージは使用することにより理論上必ず利益が出るトレードとなります。そのため、禁止行為に入れられていることの多い取引手法となっています。ちなみに、国内FXでは、法的にアービトラージを行うことができません。

アービトラージ利用する場合のメリット

アービトラージをするにあたってのメリットはいくつかあります。

確実に利益を得られる

アービトラージは、ほぼ100%損するリスクがないトレード手法です。通常のトレードとは異なり、複数ポジションを保有するため、為替変動によって損失を被るリスクは低くなります。つまりアービトラージは、勝てることがわかって挑めるトレードなので勝率が非常に高くなります。海外FX初心者であっても利益を出せる可能性が高いトレード手法なのです。

為替相場がそれほど変動しなくてOK

海外FXトレードでは、値動きが起きない事には利益を得ることはできません。しかし、アービトラージでは、価格の歪みを利用し、小さくこつこつと利益を獲得する手法であるがゆえ、それほど値動きが起きなくても利益を得ることは可能です。

トレードスキルがなくてもOK

海外FXトレードで利益を獲得するには、卓越したトレードスキルや為替知識が当然ながら必要です。ところがアービトラージの場合には、それほどトレードスキルや為替知識が求められていません。アービトラージで必要なのは価格の歪みを見つけられる観察力とスピード。FX初心者でもコツを掴めば利益を出すことは難しいことではありません。

アービトラージにはいくつかの種類が存在する

アービトラージは大きく分けると4種類が存在します。

  1. 業者間アービトラージ
  2. スワップアービトラージ
  3. 通貨アービトラージ
  4. ボーナスアービトラージ

ここからは、それぞれのアービトラージの手法や特徴、実践方法について見ていきましょう。

業者間アービトラージ

まず、業者間アービトラージとは、業者間のレートのわずかな遅れを利用して価格差を狙う手法を言います。別名「レイテンシーアービトラージ」とも呼ばれています。

海外FX業者が提示するレートは、常に同じになるわけではありません。
海外FX業者は顧客から受けた注文をインターバンクに流す際、以下の2つの方法を採ります。

  1. 顧客からの注文を海外FX業者が仲介することなく直接インターバンク市場へ流す
  2. 顧客からの注文を海外FX業者が自動的にインターバンク市場へ流す

この場合、海外FX業者を通してインターバンク市場へ流しているケースの方がややレート配信が遅れるのは明白です。

以下の例の場合2つの業者を見ると、業者Bは業者Aよりレート配信が1秒ほど遅れています。

12:00:00 12:00:01 12:00:02 12:00:03
FX業者A 130.05円 130.10円 130.20円 130.40円
FX業者B 130.10円 130.20円 130.40円 130.55円

このように、価格変動の反映が海外FX業者によって早かったり遅かったりするため、時間差が発生します。13:00:02時点は、両者の価格差が最も開いており、アービトラージをする最大のチャンス。業者Aから130.20のレートで購入後すぐに、業者Bで同じ通貨ペアを130.40で決済すれば、差額を受け取れます。ここでは0.2円分の差額が発生しているため、1ロットの取引で2万円の利益を得ることができます。

スワップアービトラージ

スワップアービトラージとは、同一銘柄のスワップポイント金利差を狙って利益を獲得する手法を言います。アービトラージの中では一番有名な手法です。売りスワップが高い通貨をショート(売り)し、買いのスワップが安い通貨をロング(買い)すれば利益を獲得できます。この場合同一口座内で両建てをしているので、規約違反になりませんが、業者によって両建ての規約をしっかりと確認しておきましょう。スワップアービトラージでは、為替レート変動を気にせず、狙うのはスワップポイントのみとなります。

例えば買いスワップが200円、売りスワップが-180円のケースでは、20円分のスワップポイントが発生し受け取ることができます。注意点としては、買いと売りのスワップの合計がプラスにならなければならず利益を得ることはできません。
以下の表では、一番上がスワップアービトラージの成功例です。一方で、下の2つについては買いと売りのスワップ合計がマイナスになるので、アービトラージができません。

買った際のスワップ 売った際のスワップ スワップアービトラージの可否
200円 -195円 可能
100円 -105円 不可(マイナスのため)
-150円 -160円 不可(マイナスのため)

3通貨アービトラージ

3通貨アービトラージとは、別名で「トライアングル・アービトラージ」「三角裁定取引」と呼ばれる手法です。3つの通貨ペアの価格差で利益を出すため、業者間アービトラージやスワップアービトラージと比べると少々何回なアービトラージとなっています。

たとえば日本円・米ドル・ユーロの3通貨でアービトラージをする場合、以下の順番で売買を行っていきます。

  1. 日本円でドルを購入(ドル円の買い)
  2. ドルでユーロを購入(ユーロドルの売り)
  3. ユーロで日本円を購入(ユーロ円の買い)

3通貨アービトラージで利益を得るには、3つの通貨ペアのバランスが均衡しているようではあまり意味がありません。3通貨が不均衡であるかどうかを探すのにはかなりの労力がかかります。

ボーナスアービトラージ

ボーナスアービトラージとは、2つ以上の海外FX業者で口座開設を行い、それぞれの口座開設ボーナスか入金ボーナスを利用して行うトレード手法です。

たとえば、100%入金ボーナスを利用して2つの業者に5万円ずつ入金した場合、それぞれの海外FX業者の口座残高は、ボーナスを含めてどちらも10万円となります。
その状態で一方の業者では買い、もう一方の業者では売りで同じロットを建てます。相場が変動するのを待ってどちらかが0で、もう一方が20万円となります。ただし両建てを行っているわけなので、損益自体は0円となります。入金時に5万円+5万円の10万円の利益が出ています。ボーナスは引き出せないですが、20万円の利益が出ている業者のほうから現金が引き出せるので、プラスの出金(5万円)が可能となるわけです。
この方法を使えば、海外FX初心者でも利益を得ることはできますが、ほとんどの海外FX業者では禁止されている行為です。見つかった場合最悪のケースでは口座凍結や利益没収となってしまいます。多くの海外FXトレードでは、MT4やMT5を利用しているため、IPアドレスで特定ができしまうのでバレないことはほぼないと言ってよいでしょう。
海外FX業者のひとつXM Tradingでは、以下のような行為を禁止しています。

  • XM内の別口座間での両建て
  • XMと異業者間での両建て
  • 複数人口座を利用した両建て
  • 窓開けトレード目当ての両建て
  • 裁定取引(アービトラージ)目当ての両建て

このように、明確にアービトラージの禁止を謳っている海外FX業者も多いため、アービトラージはバレなければよいではなく、できればあまり行わない方がよいトレード手法であると思います。

アービトラージが可能な海外FX業者

これまで見てきたように、海外FXではほとんどの業者がアービトラージ、特にボーナスアービトラージは禁止されています。ただし、スワップアービトラージに関しては同一口座内の両建てとなるので、業者によってトレード可能となっています。ですから、スワップアービトラージが可能な海外FX業者を見つければアービトラージは可能というわけです。
スワップアービトラージに有利となる海外FX業者は、必然的にスワップポイントを狙いやすい業者となります。

スワップポイントを狙いやすい海外FX業者
  • iFOREX
  • GEMFOREX
  • Titan FX

いずれの業者も同一内両建てがOKの業者である点、スワップポイントが高いという海外FX業者たちです。
またスワップポイントを稼ぐためにはプラススワップとなる業者でなければなりません。プラススワップとなる業者は現在、ほとんど存在していません。一部情報では、GEMFOREXで一時期停止となっていたスワップアービトラージが復活したという噂があります(2022年12月の情報にて)。

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