
海外FXトレーダーがある程度収益が出るようになったら、法人化した方がメリットあるのではないか?と思う方もいるのではないでしょうか?海外FXのトレーダーになれば、国内FXのトレーダーと比べて高いレバレッジをかけたトレードも行えるため、利益を出しやすくなることでしょう。そうなれば心配なのが資金管理や税金面。個人でやり続けるよりも、法人化した方が税制上得することも多いです。
この記事では、海外FXトレーダーが法人化する場合のメリットにはどのようなものがあるのか、デメリットはないか?について説明していきます。FXトレードで利益を出せるようになり法人化まで考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
なぜ法人化したほうが断然得なのか?
仲間とビジネスを立ち上げたり、一人で事業を興したりするようになり、だんだんとお金を稼げるようになると、必ず法人化をするかこのまま個人でいくかに悩む時期が来ます。そうなった時に法人化を選ぶ人は多いです。しかし、法人化すると、社会的な責任も増えます。それでも法人化すべきなのはなぜでしょうか?
ここでは、その理由についていくつかまとめてみました。
法人なら経費を使って利益を圧縮することができる
個人のトレーダーがFXトレードで経費を使おうとしてもどうしても限りがあります。個人で購入出来るものとしては、セミナー参加費用、書籍代や通信費、パソコン、スマートフォン購入費、移動交通費、トレードに必要な家電、備品などがあります。
ところが、法人化することによって、経費として扱えるお金が広がります。そのことで、利益を圧縮することができるのです。たとえば、住居費(役員社宅として計上すれば全額ではないものの経費となる)、出張費、保険にかかる費用、自動車関連費など、仕事に関するものであり事業用と説明できるものならすべて経費扱いとなります。
FXトレードをするために会社を設立したため、特に取引先が無いと状態でも、接待交際費として自分1人で食事をしたものを経費として計上できます(ただしその場所で打ち合わせや仕事をしているという前提のため、プライベートで遊びに行ったものを計上することはNGです)。
税率に関しては、個人も法人もさほどの差はありませんが、経費計上できる項目や範囲が大きく異なるので法人化できるならその方が断然有利、納税額を大幅に引き下げることが可能となります。
では、どれくらいの年商(年収)を実現できれば法人化してもよいものでしょうか?これには明確な答えはないものの、一般的には700~800万円の年商(年収)があるなら法人化しても意味があります。それ以下なら個人のほうが良いです。とはいえ、事業として見たときに立った1年だけその基準を超えたからといって、また翌年も同様の売上が目指せるかと言えばかなり不透明です。そのため、3年連続で700万を超える、とか、自分なりのミッションを決めて数年経ってから法人化する方が安全と言えるでしょう。
最大10年間にわたって損失の繰越ができる
国内FXの場合、FXで出た損失は3年間に渡って繰り越すことができますが、海外FXの場合には損失繰越はできません。しかし、これも法人化することにより、最大で10年間にわたり損失繰越が可能となります。
給与所得控除が使える
個人事業主の場合には、給与所得控除はありませんので、共通して受けることができるのは基礎控除となる38万円のみです。しかし法人化により給与という形で自分に給与を支払えば「給与所得控除」を受けることができます。給与所得控除は給与によって変わりますが、1,000万円を超えると控除額は上限値に達してしまい振り切れてしまいます。
給与所得控除
給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
1,800,000円以下 | 収入金額×40%(650,000円に満たない場合には650,000円) |
1,800,000円超~3,600,000円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
3,600,000円超~6,600,000円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
6,600,000円超~10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
10,000,000円超 | 2,200,000円(上限) |
以上のように給与額によって大きな控除が受けられるため節税となります。
家族を社員にして給与の支払いをすることができる
法人化した場合に家族を社員としてしまえば節税となりお得となります。
個人の場合だと、家族に対して給与支払いをするのに、
- 同一生計であること
- 事業に専従していること
- 行った労務の対価として妥当な金額である
- 15才以上であること
といったことが正当化できないといけません。また、このケースでは配偶者控除や扶養控除の対象外となってしまいますので、給与を支払うことで控除が受けられなければ損してしまう場合が出てきます。
しかしこれも法人化してしまえば、家族に対して給与の支払いをした場合にはすべて経費となりますので、利益を圧縮することができます。たとえば、配偶者に経理作業や簡単な事務作業、調査などの作業を行ってもらうことで、対価として支払った給与を経費計上することがkな王です。非常勤役員などとしていれば、常時仕事をしてくれていない配偶者にも給与を支払うことができるため、家庭に可処分所得を増やすこともできます。
所得税の課税については、累進課税が取られているため1,000万円を1人に給与を支払うよりも、500万円を2人に支払う方が確実に税金は安くなります。そのため、家族を社員にすることは大きなメリットがあります。
所得税の控除額
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超えて330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超えて695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超えて900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超えて1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
退職金を受け取ることができる
法人化して会社に内部留保を残しておくことができれば、万が一会社を整理する際に、自分への退職金として税金優遇された状態で、法人口座にある金を個人に渡すことができます。いざという時に節税した状態で法人から個人へ所得を動かせる点は大きいでしょう。
社会保険への加入が可能
個人事業主であれば、国民健康保険や国民年金への支払いがありますが、社会保険に加入する必要はなく、月々の支払いは少なくて済みます。ただしその分将来に対する保障は薄くなってしまいます。
この点も、法人化すれば厚生年金や社会保険などに強制加入となります。厚生年金は国民年金の上乗せ分となるので月額の負担は増えるものの、将来に対する安心が少し上積みされる点がメリットです。
出張手当を受け取ることが可能
法人の場合には出張した際に、出張手当を出すことができます。社内の労務規定に定めておく必要がありますが、1回出張を行えば出張手当をいくら出す、と決めておけば問題ありません。ケースによっては海外FXがらみで海外の人と打ち合わせする名目にて、海外旅行に行った場合にも出張手当を出すことができるでしょう。
海外FXで法人化するデメリット
次に海外FXトレーダーが法人化する場合に起こり得るデメリットについて知っておきましょう。
法人設立時に費用が発生する
会社設立時には、定款認証や登録免許税として、法務局や公証役場に登記代金に20万円~25万円程度の支払いが発生します。合同会社の場合には、6万円程度で済みますが、法人化というと株式会社のイメージが強いため、可能な限り合同会社ではなく株式会社設立の方がよいでしょう。
税理士や社労士などに依頼するコストが発生する
法人化した場合、基本的には税理士や会計事務所に決算申告の際、依頼する必要が出てきます。決算期のみ単発でお願いすることもあるものの、月額固定で契約する場合、常にランニングコストがかかってくるので、利用時にはしっかり報酬コストを考えておく必要があります。
法人住民税7万円が赤字の場合でも発生してしまう
法人税は利益に対して課税されるものです。そのため本来なら赤字の場合には税額は0円になります。ただし一つだけ例外があり、法人住民税の7万円は赤字でも支払う必要がでてしまいます。事業所を持って営業活動をする限り、この部分は免除対象となりません。
法人で口座開設ができるFX業者はこれだ
海外FXでは、個人口座は作れても法人口座が作れない業者もあります。
- GEMOFREX
- FXGT
- AXIORY
日本で人気の高いFX業者であるXM Tradingでは法人口座を作ることはできません。
法人口座を利用するメリットとしては先ほどメリットで挙げたものとほぼ同じですが、デメリットに関しては追加があります。たとえば、法人口座の場合利益を出した後で、自由に出金がしにくくなるという問題があります。法人口座にした段階で、個人ではなく法人のお金となり、法人=1人会社であっても勝手に利益を引き出せないのです。また、法人口座開設は、登記簿謄本などの準備が必要となり、いろいろと手間もかかります。
法人化にはメリット・デメリット両方ある
法人化をすることにはデメリットもメリットもあります。1人でFXトレードをしているのであれば、正直法人化する必要もないかもしれません。しかし、FX以外にも別に事業をやりたい、そのための資金をFXで稼ぐ、といった場合には法人化して、多角化経営をしていくのもよいでしょう。すべては本人がどれだけ稼げるか、稼ぎ続けられるか、です。