
海外FX業者を調べていると「ゼロカットシステム」という言葉を目にする機会があると思います。FX初心者であれば、ゼロカットシステムや関連する追証の知識がなく、どのようなサービスなのかわからない方も多いでしょう。
この記事では、海外FXのみで行われるゼロカットシステムについて、基本知識やメリット・デメリットを詳しく解説していきます。海外FXをもっと楽しみたい方は、参考にしてみてください。
海外FXのゼロカットシステムとは?
まず、海外FXのゼロカットシステムの仕組みについて解説していきます。
ロスカットとゼロカットの違い
海外FXには、ゼロカットシステムと似たような用語に「ロスカット」があります。それぞれの違いは、以下のとおりです。
ロスカット | 含み損が増えて証拠金維持率が一定値を保てなくなった場合、ポジションの強制決済が執行されること |
ゼロカット | ロスカットの執行時、マイナス残高を相殺して口座残高を0に戻してもらえる海外FX特有のサービス |
海外FXではゼロカットがあるため、ロスカット執行時にマイナス残高が生じる場合は、海外FX業者が相殺してくれます。したがって、口座に入金した以上の損失をトレーダーが追うことはありません。
一方、国内FXではゼロカットシステムがありません。万が一、ロスカットが執行された場合、トレーダーは「追証(おいしょう)」と呼ばれる追加の証拠金を支払う必要があります。そのため国内FXでは、ロスカットが生じるたびにトレーダーが借金を抱えてしまいます。ゼロカットは、海外FXのみに適用されるサービスの一つです。
なぜ海外FX業者だけにゼロカットシステムがあるのか?
海外FX業者がゼロカットシステムを採用できる理由には、以下が挙げられます。
- 日本の金融庁の管理下にないため
- 取引方式の違い
そもそも日本の金融庁はゼロカットシステムを禁止しているため、管理下にある国内FX業者はゼロカットシステムを採用できません。一方、海外FX業者は、日本以外の国で金融ライセンスを取得しているため、ゼロカットシステムを自由に導入できるというわけです。
また、ハイレバレッジで取引できる海外FXでは、国内FXに比較すると収益に大きな差が生じます。スプレッドを主な収入源としている国内FX業者と異なり、海外FX業者は巨額の入金で運営が回るため、ゼロカットの導入で取引の活性化を促していると考えられます。
ゼロカットが生じるタイミング
ゼロカットの決済には、以下の順番があります。
- 証拠金でマイナス残高を相殺する
- ボーナス分でマイナス残高を相殺する
- マイナス残高が「0」にリセットされる
まず、証拠金でマイナス残高が相殺され、つぎにボーナスがマイナス残高へ補填されます。証拠金とボーナスを使用し、それでもなお残高がマイナスならゼロカットが行われます。
マイナス残高時に入金しても損失は補填されない
入金後にゼロカットが生じる場合、マイナス残高時に入金しても大丈夫だろうかと不安に思う方も多いでしょう。しかし、残高がマイナス時の入金は損失補填になりません。この場合、マイナス残高が「0」に戻ってから入金額が反映されます。
ゼロカットシステムが反映されるまでの期間
ゼロカットシステムの作動後、口座へ反映されるまでには数時間~数日かかります。また、海外FXのなかには入金によってゼロカットが発動する業者もあります。ゼロカットのタイミングは海外FX業者ごとに異なるため、すぐに残高が「0」にならなくても、慌てないようにしましょう。自身が使用するFX業者のタイミングを、事前に確認しておけると安心です。
海外FXのゼロカット制度におけるメリット
海外FXのゼロカットには、以下のメリットがあります。
- 追証しなくて済む
- ハイレバレッジ取引との相性が良い
それぞれの詳細を解説していきます。
追証しなくて済む
ゼロカットシステムの一番のメリットは「追証しなくて済む」ことだといえます。なぜなら、ゼロカットシステムがあれば、損失が出たとしても追証請求を受ける必要がないからです。
例えば、証拠金の10万円が急激な相場の変動により、ロスカットが間に合わず20万円の損失を抱えたとします。この場合、追証がある国内FX業者では、証拠金の10万円と追証分の10万円を合わせて20万円の損失が確定してしまいます。
一方、追証なしでゼロカットシステムを導入している海外FX業者であれば、証拠金の10万円が損失となるだけで済むのです。たとえ口座残高がマイナス100万円や1,000万円になっても、ゼロカットシステムがあれば追証請求をされることはありません。
ハイレバレッジ取引と相性が良い
ゼロカットシステムは、ハイレバレッジ取引と相性が良いのもメリットといえます。海外FXでは、レバレッジ取引を行うと証拠金が少なくて済みます。なぜなら、ゼロカットシステムが導入されている場合、口座残高以上の損失を抱えることがないからです。
例えば、口座に10万円しか入っていない場合は、どれだけマイナスになっても10万円の損失しか負いません。このように、ゼロカットシステムは損失の上限が決められているため、リスクを恐れずにハイレバレッジ取引を行えます。
このように、ゼロカットシステムの特徴を利用した取引ができると、海外FXで利益を出しやすくなるでしょう。
海外FXにおけるゼロカットのデメリット
海外FXで行われるゼロカットには、以下のデメリットも生じます。
- 海外FX業者が勝手に追証する可能性がある
- 口座凍結の可能性がある
それぞれの詳細を解説していきます。
海外FX業者が勝手に追証する可能性がある
ゼロカットは追証されないのが特徴ですが、過去にシステムを導入していた海外FX業者が「損失のカバーができない」という理由で、トレーダーに追証したケースも存在します。また、スイスフランショックの際には、とある海外のFX業者が「損益を補填できない」として追証を払うよう公式HPでアナウンスしていました。
このように、海外FXではシステムのルールを破ってしまう業者も存在します。今後同じような事が起こった時に、追証を求めず資金割れで倒産してしまう業者も出てくるかもしれません。たとえゼロカットシステムを導入していても、ルールを破って追証を求める海外FX業者が存在するケースもあるため、業者選びは慎重に行うのがよいでしょう。
口座凍結の可能性がある
ゼロカットシステムを利用した取引には、業者間両建てという手法が存在します。業者間両建てとは、相場が大きく動くときをねらい、別の業者でもエントリーして利益を得る手法です。この手法は、FX業者側に損害が発生するため、禁止している業者が多くいます。万が一、両建て取引がバレると、利益を取り消されたり口座凍結されたりする恐れがありのも事実です。
取引する際は、ポジションが両建てになっていないかをしっかりと確認しておきましょう。
検証:海外FXごとにゼロカットは存在するのか?
海外FXではゼロカットシステムが導入されていると考えられますが、各業者において本当にシステムは発動するのでしょうか。海外FX業者におけるゼロカットの実態を調べてみました。
XM Trading
海外FXのなかでも有名なXM Tradingでは、ゼロカットについて公式サイトで以下のように触れています。
XM Tradingのゼロカットは、マイナス残高が自動的にリセットされた後で入金されます。同一業者で別口座を持っている場合は、証拠金が足りなくなったタイミングでロスカットになります。このとき、別口座には何も影響がありません。
タイミング | マイナス残高後、入金する際にマイナス残高がリセットされる |
同一口座 | ロスカットされる |
別口座 | 別口座に影響なし |
GEMFOREX
日本人トレーダーに人気のGEMFOREXにおけるゼロカットは、以下のとおりです。
※ポジションを保有中には、執行されませんので、ご注意お願い致します。
※その他取引状況などから当社が必要と判断した場合、ゼロカット執行までに時間を要する場合がございます。
GEMFOREXでは、ゼロカットに伴うマイナス残高の補填が60分以内に行われます。そのため、口座残高がマイナスになると60分でゼロカットが実行され、口座残高がゼロに戻されます。万が一、残高がゼロカットされる前に入金してしまった場合は、カスタマーサポートへ連絡して対応してもらいましょう。
ゼロカットのタイミング | マイナス残高後、60分以内に自動的に相殺になる |
同一口座 | ロスカットされる |
別口座 | 別口座に影響なし |
このように、大手の海外FXでは、きちんとゼロカットシステムが発動すると確認できます。ゼロカットの処理が正しく行われるのを希望する方は、知名度の高い海外FX業者を利用するのが安心かもしれません。
まとめ
追証なしのゼロカット制度は、海外FXのみに導入されるシステムです。トレーダーが多くの負債を抱えなくて済む点では、顧客を守る素晴らしい仕組みといえます。また、ハイレバレッジとの相性も良く、上手く利用すれば多くの利益を出せるかもしれません。ほとんどの海外FX業者が導入しているため、思い切ってトレードしてみましょう。